あかいろのしずく

「先生来るぞ、アズマ」「落ち着けよ」近くにいた友達が俺に言う。でも、ほとんど耳に届いていなかった。



先生の影が廊下に見えて、俺は詰まった息を吐きだした。
駄目だ、席に戻ろう。俺が冷静になれなくてどうするんだ、こんなんじゃ話せないはずだ。



そう思い、俺は離れている自分の席に戻ろうとした。
その時だった。








「ごめん」






振り返ればミナトが俺を見ていた。目が合って息が止まった。
ミナトは泣きそうになっていた。



人懐っこい笑顔が目を引く二年の頃の彼は、もう見る影もなかった。
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