あかいろのしずく

「それでどうした?」

「悪いことが二つあるんだけど、どっち聞きたい?」

「......なんでどっちも悪いわけ?」




俺は聞き返したけど、ミナトは答えなかった。


色々と忙しかったから、俺はミナトの受験が終わるまであまり学校では話さなかった。だから聞きたいことが山ほどあった。


純とはどうなっている?とか、受験の結果はどうだった?とか。
でも、まだ彼女もいなければ受験も先の自分。ストレートに聞くのはどうかと考えてしまう。




頭上には白に似た灰色の雲が広がり、山の向こうまで続いていた。


いつもより肌に寒さを感じる。コートを羽織ってきて正解だった。昼からポケットに入れたカイロの熱が、奪われていく気がした。



光悦茶(こうえつちゃ)の艶のある髪が、冷たい風に揺れる。





「落ちたよ」




唐突に、ミナトが呟いた。
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