あかいろのしずく
頬を撫でた風が冷たくて、痛みさえ感じた。
「推薦、落ちた」
繰り返された言葉に、俺は一体何を返すのが正解なのだろう。
言葉を失いドアの前に立ち尽くした俺に、「これが一つ目な」と言ってミナトが笑いかける。
嘘だろ? ミナトが、落ちた?
混乱した。信じられなかった。当然のように受かって帰ってきたのだとばかり思っていた。肺が凍り付いたみたいに、息が上手くできなかった。
「ちょっと、待てよ」
しばらくの沈黙の後、俺はようやっと声を出した。傷を抉るようなことを聞くと分かっていたけれど、俺は止まらなかった。
「本当に?」
「本当だよ」
「なんで?」
「小論文苦手だったんだ。それで落ちた」
だって、そんな、あんなに勉強してたじゃないか。
俺は悔しかった。でも、ミナトは俺よりもずっと、悔しいんだろう。