あかいろのしずく
だから、夜中に自分だけ抜け出すようなことも、二回目の脱出で私とアズマを見捨てて逃げることもしなかったのだ。
常に誰かを思うが故に、選択肢は絞られる。
苦しかっただろう。何もしていないのにこんなことになって。
本音を言えば、もう、今すぐにでもここから出て自由になりたいはずなのに。
「先のことなんて誰も知りはしないからね。あの時どうすればよかったかなんて、どの道分からなかったのよ」
サユリさんが弱々しく笑った。
それでも泣かない強さがうらやましかった。
先生との会話の時に擦って赤くなったであろう目の淵が、また痛みだす。
私はいよいよ、本格的に、どうしようかと考えた。