あかいろのしずく

ここまでの道のりを休まず来れたのは我ながら上出来だと思う。カッコ悪いしショウトには言わないけれど。


「本調子じゃないんだよ。まあ、大丈夫」



「そうですか」と、ショウトは言った。
車の前まで来ると、梯子をちゃんと固定するようにショウトに頼む。車とくっつけて固定すると、足場の雪を払う。




「今日はやけに心配してくれんのな」


からかうつもりでそう言った。そしたらショウトは、案外素直に返してきた。




「あんたが頼りなんですよ」




この建物を出るときに、西平が同じようなことを言っていた気がする。

そうなんだろうか。今とそう変わらないが、ここにいた俺という人間は、偉そうで無茶苦茶で自分勝手で、物事も強制して優しさの欠片も無かった。
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