あかいろのしずく
本当に一目でも見たい、会いたいと思ってしまえば、もうそこで終わりなのです。そこで僕は罪も羞恥もすべて忘れたことにして、純になんとしてでも会いに行くだろうということも分かっていました。
分かっていたはずで。
これでも、自分を抑え込んで我慢していたつもりで。
......。
そうして僕は、その通りに、一瞬生まれたその衝動に駆られて白い花を踏み分けて、走り出すのです。
「純」
無理なのかもしれません。いや、無理です。
我慢なんてできない。
君に会うために、僕はここに来る覚悟を決めました。
心中のことだってそうだ。そもそも会うために死んだって良かったんだ。今までいろいろあったけど、最後には自分一人でこうやって辿り着いた。
それだけでも、十分僕はよくやったと思っていました。
でも、現実は違った。