あかいろのしずく











そこは、丸い広場のような空間でした。


同じ高さで芝が切りそろえられ、地面は白ではなく緑に染まっていました。

木には装飾が施してありました。地面に咲いていた花を糸か何かに括り付けて、木の枝からいくつも吊っていたのです。それは周りからこの空間を柔らかく仕切って切り離す、白いカーテンのようにも見えました。


その空間の真ん中には、木の台が一つ。僕の腰の高さぐらいの小さなものでした。ぽつんと立っていました。その周りには花びらが沢山落ちていて、雪でも積もっているみたいでした。

それを囲むように三つ、丸太が手前に倒れていました。
椅子として使うのだろうと思います。

相変わらず、眩しくて綺麗な世界でした。
どこを見ても、そこが地獄には思えないほどに。
< 730 / 754 >

この作品をシェア

pagetop