あかいろのしずく
止まらなかった。僕は早口で一気にそう言いました。純は戸惑っていました。
「先生、でも、あの時わたし、言ったよ......?」
「そんなの知らない」
僕は純から離れて振り返りました。元来た道を戻ろうとすると、純が「なんで」と僕の前に立ちました。涙で潤んだ瞳には、同じように泣きそうになっている自分が映りました。けど、僕は純をかわして進みます。
なんで? そんなの決まってるじゃないか。
木漏れ日の降る小道に再び、足を踏み入れます。
たぶん、溜め込んでいたものが爆発したのでしょう。