あかいろのしずく
ドクドクと、心臓が大きく鳴っています。雷でも落ちたような衝撃でした。劈くような女性の声が、その後も木霊していました。頭が痛かった。

騒がしくしてはいけないと言ったのはあなただっただろう。どうしてこんなことをするんだ。そう思い逃げ出したくなる半面、僕は冷静になって目の前の出来事を受け止めようとしていました。


そして女性のことを思い出しかけたその時、


「あ、おじさん！」

「ごめんね遅くなって！　もう始まってた？」



子供達、でした。

そして目の前にいる女性。次から次へと現れる人物。訳の分からない言動。収拾がつかなかった事態が一瞬で繋がって、「意想外」は「当然」へと反転します。

まさか。でも、そんなわけ。



「自分たちの意志で集まったのですよ。あまりお嬢さんを責めないであげてください」



子供達の後ろに腰を曲げて立っていたのは、白髪の年老いた女性。彼女のなだめるような声で、ようやっと、体の熱が冷めた気がしました。
< 738 / 754 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop