あかいろのしずく

そして、それの後に続くように二人の子供たちが言いました。



「おじさん騙してごめんね! 僕は勝手に死んじゃってごめんなさい。先生にはどうにもできないって、あの時言っちゃってごめんなさい。ずっとお礼が言いたかったんだ。ありがとうございました」

「私も同じです、もうちょっとがまんすれば、よかったのに。辛くて。だから死
んじゃってごめんなさい! たくさん悩みを聞いてくれて、ありがとうございました!」



そう言って、子供たちは僕の体にしがみつきました。ふたりとも、肩が震えていました。僕は両手共に塞がっていたから、頭を撫でる代わりに、二人に声をかけました。




「子供の時に、我慢はいけないですよ。わがまま言っても、いいんですよ」




さっきまで思っていたことと、自分の口から発した言葉には矛盾がありました。
そうです。なにを、そんなに自分の考えを押し付けるほど、熱くなっていたのでしょう。
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