あかいろのしずく
自分の弱みをさらけ出すことが如何に難しいか、分かるでしょう。
話して後悔したことが、あるでしょう。僕にもある。
人の悩みを聞いてアドバイスをして喜ばれるようなこともあれば、陰で呪われるような仕事です。
こんな相談で人生が変わるわけがなかった。
どうせこいつに自分の気持ちなんか分からない。
話したのが無駄だった。
感謝する一方で生まれるそんな気持ちがあることは、十分承知でした。
そうですよ。所詮悩みを聞こうが弱みを握ろうが、完璧なアドバイスができるわけでも簡単に救えるわけでもない。できるならそんなカウンセラーになりたかった。
けど、だからこそ、僕は僕の結果に期待はしていませんでした。それに対する批判は当然だと思っていました。
四人も担当した人が死んでしまって、純までいなくなって。
もうこんなの、恨まれる以外他に何もないと思っていました。
それなのに。