あかいろのしずく
困ってないかな。辛くないかな。
ほら、心が悲鳴を上げているひとがいる。
傷ついて涙が止まらない人もいる。
僕はいつも僕なりに、そんな背中に手を添えて、精一杯助けようとした。
けれど現実は厳しくて、辛いことばかりで。それなのに無駄な期待をしてしまうんだ、子供みたいに。
前を向いてもすぐ心は折れるし、間違いばかりだし、今振り返っても後悔しかない。
そんな、失敗だらけの人生だった。
「本当に、有難うございました」
「ありがとう!」
「おじさんありがとう!」
「ありがとうございました、先生」
こんなにも心が満たされた日が来ることを、生きているうちで何度期待しただろう。
堰を切ったように涙が溢れだしました。
こんなとき悠然としていられたら、良かったんですけどね。かっこいいんですけどね。立っていられるのがやっとでした。
こみ上げてきた温かい感情に、僕は息を詰まらせて泣きました。