あかいろのしずく
嗚咽を殺しても殺しきれなかった。ぼろぼろと大粒の涙が、次々に溢れてくる。止まらない。涙が止まらない。嬉しい、本当に嬉しい。良かった。
感泣してしばらく、僕はそのままでいました。
これが未練だったのでしょうか。最後の最後まで、ずっとこのことを気にかけていたのでしょうか。
そよ風に運ばれた花の香りが瞼に触れて、僕は目を開きました。そして僕は、目の前に広がっている小道と、その先に限りなく続く白い花畑を見つめました。
足に抱きついていた子供達も、にっこりと僕を見上げて笑っていた白髪の女性も、僕の腕を掴んで離さなかった女性も、気づいた時には僕に温もりだけを残して、いなくなっていました。僕は泣きながら、振り返りました。
眼鏡を取って、草の上に落とします。
「純」
涙声を張り上げて、純を呼びました。