広瀬くんは、いっぱい食べる私が好き
「……はー、ごちそうさまでした」

すべて食べ終わり、両手を合わせる。

満足満足。幸せ。

……あれ。

なんだか心が軽くなった気がする。

「……和花、幸せそう。スッキリした顔してるよ」

そう言って弥生が微笑む。

私も笑顔でうなずいた。

「うん。美味しいもの食べたらスッキリした。悩んでいた気持ちが軽くなったよ」

そうだ。

別に私も広瀬くんも悪いことをしているわけじゃない。

お互い納得して一緒にいることにしたんだから、それでいいんだ。

もし、これから先噂がひどくなって、誰かが誤解したり、それで広瀬くんや他の人に迷惑がかかるようならそのときまた考えればいい。

大丈夫。

きっと間違ってない。

「……なんだー。シンプルなことじゃないの」

お腹空いているとダメだね。

ネガティブなことばっかり考えてしまう。

「やっぱりご飯は美味しく食べなきゃねーっ」「え?なにそれ和花。なんでそういう結論になっているの」

あきれたように笑う弥生。

「………でも、あたしも美味しくご飯食べている和花が好きだよ。これから噂で困るようなことになったらいつでも言ってね。力になるから」

「ありがとう、弥生」

こうしてご飯を食べて素直に美味しいと思えるのは、弥生やみんなのおかげってわかっているからね。

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