仮想現実の世界から理想の女が現れた時
「部長、これ、私の1週間分の食料ですよ。
部長が払うのはおかしいです。
私が支払いますから。」

そんなの気にしなくていいのに。

「だったら、1週間、俺を思い出しながら、
食事して。
それで十分、元は取れる投資だよ。」

そういえば、初めて外回りに出た時も、昼に奢ってもらったからって、コーヒーを奢り返してきたな。

真面目というか、律儀というか…



部屋に戻り、俺は、暁里が料理をするのを興味深く眺める。

手際よく、そうめんを茹でて冷やしながら、副菜を作り、薬味を用意する。

ほんとに料理できるんだ。


「どうぞ。」

暁里が準備を終えて、勧めてくれる。

「お好みですけど、おすすめは、麺つゆに
大葉と炒りごま、梅干しを入れて食べてみて
ください。
わさび、生姜はお好みでどうぞ。」

「いただきます。」

俺は、暁里の言う通り、大葉や梅干しを麺つゆに入れた。

普通、薬味って言ったら、ネギじゃないか?

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