仮想現実の世界から理想の女が現れた時
「お姉ちゃん、真っ赤だよ。
あの、凶暴なお姉ちゃんが、こんなにかわいく
なるなんて、佐久間さん、魔法使いですか?」

右側の晴(はる)ちゃんが言った。

「凶暴? 暁里が?」

「私たち、いっつも怒られてるんだから。」

それを聞いた暁里が目を剥く。

「あんた達が、失礼な事ばかり言うからでしょ!
ちょっとは、黙るとか、遠慮するとか、
できないの!?」

暁里が声を張り上げるところを初めて見た。

ま、この傍若無人で怖いもの知らずの妹たちが相手じゃ仕方ないな。

「くくっ
暁里、大丈夫だから。」

俺は、怒る暁里の肩をそっと抱いて落ち着かせる。

すると暁里は、さらに恥ずかしそうに俯いてしまった。

そのまま、真っ赤になって固まった暁里になんて声を掛けてやろうか思案していると、玄関が開く音がした。

「ただいまぁ。」

と男性の声。

ん? お父さんか?

俺は、にわかに緊張する。

まさか今日、お父さんと対峙するとは思ってもいなかった。

当然、その覚悟もない。

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