仮想現実の世界から理想の女が現れた時
お父さんが居間に入っていらっしゃるのを見て、俺は営業に出た時と同じように立ち上がった。

「はじめまして。
お邪魔してます。
暁里さんとお付き合いしてます佐久間と
申します。
よろしくお願いします。」

俺は、きっちり頭を下げる。

こういう挨拶で慌てなくてもいいところは、営業でよかったと心から思う。

お父さんは驚いていたようだが、一瞬の後に、

「暁里の父です。
どうぞ、お座りください。」

と落ち着いて声を掛けてくださった。

「はい。
ありがとうございます。」

俺はお礼を言って、再び、座る。

「お父さん、聞いて聞いて!
佐久間さんに、お姉ちゃんの好きなとこ、
聞いたの。
そしたら、なんて言ったと思う?」

興奮した旭ちゃんがまくし立てる。

「さあ。」

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