仮想現実の世界から理想の女が現れた時
暁里は焦って、顔を上げる。

「大丈夫。誰も見てないよ。」

俺は、暁里の腰に添えた手に力を入れて、抱き寄せる。

俺たちは、長い時間をかけて、ようやくイルカショーの客席にたどり着いた。

だけど、1回目のショーは終わってしまった。

2人並んで、席に座ると、俺は、

「ちょっと待ってて。」

と声を掛けて、売店へと向かう。

昼食になりそうなものを適当に買って、両手にトレイを抱えて戻る。

「お昼ご飯、適当に買ってきた。
食べよ。」

俺たちは、次のショーの時刻まで、食べながら待った。

2人で過ごす時間は、それだけで幸せだと思える。

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