仮想現実の世界から理想の女が現れた時
「部長、遊園地好きなんですか?」

「………
子供の頃、父とよく行ったんだ…」

「社長と?」

「年に何回かの面会日は、遊園地に行く事が
多かったからな。」

「部長、お父様がいなくて、寂しくなかった
ですか?」

「いたらいいな…と思う事はあったが、
寂しくはなかった。
週末はずっと野球をしてたし、平日は、
もともと父は仕事でほとんど家にいなかった
から、引っ越した事で環境は変わったけど、
家族の関係はそんなに変わったわけじゃ
ないんだ。」

こんな話をするつもりじゃなかったのに。
気を遣わせたな。



「瀬名、ここ入るぞ。」

俺はここで一番人気のアトラクションを勧める。

「え!?
私、ここは、ちょっと…」

「なんだ?
いい年して、怖いのか?」

「怖いというか、あまり好きじゃなくて…」

くくっ
だから、行くんだよ。

「却下。行くぞ。」
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