仮想現実の世界から理想の女が現れた時
「そうだなぁ…
まず、がんばってる奴。
で、周りを思いやれる奴。
で、俺の中身を見てくれる奴。
かな?」

つまり、ちょこさんだよ。

「お前は?」

俺は瀬名に問い返す。

「え?」

「この間、失恋した…って言ってただろ。
どんな奴だったんだ?」

「会った事も見た事もない人です。」

「は?」

「ネットの中だけで繋がってる知らない人
なんです。
優しくて、前向きで、いつもがんばってて、
私もいつも励まされてて、気付いたら好きに
なってました。
でも、ずっと女性の影なんてなかったのに、
最近、『ずっと会いたかった人に会えました』
って投稿があって、ああ、好きな人が
いたんだなぁ…って分かって、私の恋は
終わっちゃいました。」

「それって……… 」

まさか、俺!?

「いや、なんでもない。
じゃあ、今度は現実で好きな奴を見つければ
いい。
お前の周り、いい男いっぱいいるだろ?」

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