仮想現実の世界から理想の女が現れた時

俺は、同期のSEに張り付いて、いろいろ教えてもらった。

おかげで営業成績は誰よりも早いペースで上がっていき、入社3年目の終わりには、支店で1位になり、5年で営業係長、7年でシステム営業課長、8年で支店長になった。

もちろん、全てが俺の実力だとは思ってない。

だけど、その役職に見合う実力を身につける努力はしたし、それなりの結果も残してきた。

ま、おかげで、周りからは"鬼"呼ばわりされる事にはなったけれど…

そんな俺の所へ突然やってきた父は、支店長室に入るなり、口を開いた。

「佐久間悠貴支店長。
内示です。」

は？ 内示？
今、5月末だぞ？ こんな時期になんで？

「佐久間悠貴殿。
7月1日付けをもって、
名古屋支店長の任を解いて、
本社システム営業部長に任ずる。」

「はぁ！？」

俺は思わず声を上げた。