仮想現実の世界から理想の女が現れた時
「ふっ
悠貴、なんだその反応は。」

「だって、俺は名古屋支店っていう条件で
入社したはず… 」

俺が言うと、父は笑った。

「ははっ
ちゃんと名古屋支店に配属したじゃないか。
仕方ないだろ。ここには支店長以上の
ポストはないんだから。
お前が、想定以上の成績を上げるから、
ここでのポストがなくなったんだろ。
いわば、自業自得だ。」

「はぁ!?
じゃあ、俺が頑張りすぎたせいだって
言うのか?」

「まぁ、そういう事だな。
引越し先はどうする?
うちに一緒に住むか?」

父は嬉しそうに笑う。

だけど、俺はそんな見え透いた手には乗らない。

父は、俺を取り込んで母とのよりを戻したいだけだ。

「いい機会だし、1人で住むよ。
いい歳して、いつまでも親の脛をかじってる
訳にはいかないしな。」

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