仮想現実の世界から理想の女が現れた時
絶叫系のアトラクションやパレードなど、いくつものショーやアトラクションを満喫していると、あっと言う間に閉園時刻になってしまった。

「夢の時間が終わっちゃうね。」

暁里が呟く。


こんな事を言うと、引かれるだろうか。

心配しながらも、俺は勇気を出して尋ねる。

「延長する?」

「え?」

暁里は、怪訝そうに俺を見上げる。

俺は目の前のオフィシャルホテルを指差した。

「暁里が良ければ。
そして、運良く空室があれば…だけど。」

揺れる暁里の瞳が、葛藤を表しているようだった。


夏休みの週末。
満室の可能性もある。

それでも、暁里の返事を聞きたかった。

トラウマを抱えた暁里が、俺を好きだと言ってくれた。

それは、どこまでの思いなのか。

酔った勢い?
なんとなく?
真剣に?

俺との一線を超えてもいいと思えるほどの思いなのかどうか。

そこまでの思いじゃないなら、俺は、まだまだ努力しなきゃいけない。

暁里に振り向いてもらうために。

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