仮想現実の世界から理想の女が現れた時
「は?
チョコや缶コーヒーで?」

暁里は呆れたように笑う。

「いくら私でも、100円や200円じゃ、
落ちないよ。」

「それはあいつも分かってる。
でも、それが10回、20回と続いたところで
食事に誘われたらどうする?」

「んー、食事くらいなら行くかも。」

「それを狙ってるんだよ。
今、食事に誘っても断られるのが分かってる
から。」

「へぇ〜、頭いいね〜。」

「感心してる場合か?
お前、うっかり酒飲まされたら、アウトだぞ。」

「大丈夫!
私、上司命令で禁酒中だから。」

うんうん。

「え!?」

「部長が、私は危ないからもう飲むなって。」

俺は自席でパソコンの画面を見ながら2人の会話を聞いていたが、画面の向こうから田中の視線を感じる。

あいつ、今頃俺にむかついてるんだろう。

ま、田中には可哀想だが、暁里だけは譲れないんだ。
悪いな。

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