君の匂いを抱いて祈った。―「君が幸せでありますように」―

「そういえばさ、そう」

「なに?」

「やっぱり俺、二年のとき無理してそうと同じ専攻にして良かった。クラス変えないもんな」


 教室の場所が二階から三階に変わったという、ただそれだけで、うちのクラスは面子も変わらなければ、座席すらも変わらない。

 去年の春と同じように、窓際の後から二番目と一番後ろを占領していて、茜が後から二番目で、おれが一番後ろ。

 身体ごとおれのほうに向いてそう告げると、茜はふんわりと、幸せそうに柔らかく笑った。

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