約束のエンゲージリング
沙羅姉に初めて会ったのは、これまた物心がつく前の事。
兄の恋人だった沙羅姉はよく家にも遊びに来ていたらしく、親とも家族ぐるみの仲。
私の両親が他界した後からは特に頻繁に家を訪れ一緒にご飯を作ったり、出掛けたり、本当の家族のように一緒にいた。
兄しか居なかった私には、同性である沙羅姉の存在は大きくて沙羅姉には大人になった今でも頼りっきりだ。
「って、、あれ?マサくんは?一緒だったでしょ?もしかして何か用事あったのかな。」
リビングにある6人掛けのダイニングテーブルに腰掛けると、沙羅姉が頭を傾げながら料理を持ってきた。
テーブルには5人分の料理が並べられていて、2人して頭を傾げる。
「え?マサさん?特に用事がありそうな感じじゃなかったよ。だって普通にアパートに帰って行ったし。」
「あれ?でも孝に2人に夕飯食べに来てって伝言伝えておいたけど、、、。」
「えっ!?そうなの!?!?でもマサさん、何も言ってなかったよ?」
2人でハテナマークを浮かべながら会話しているとスウェットを着た兄がダイニングテーブルに腰掛けた。
「千佳、おかえり。それと沙羅、マサは来ないから。第一に誘ってない。」