約束のエンゲージリング
「えー?なんで??私、2人にって言ったでしょ?マサくんも来ると思っていっぱい作っちゃったよ。」
「、、たまには〝家族水入らず〟もいいだろ。てか毎回毎回呼ばなくてもいい。それに作り過ぎた分は千佳が食うから。」
そういってチラッとこちらを見た兄は、彼の分の食事を私の前に置いた。
「揃ったら食うぞ。沙羅も座れよ。」
「う、うん。じゃあ久しぶりに家族皆んな揃った事だし、、、由羅、お願いします。」
「はーい!じゃあお手て合わせて、、頂きまーす!!!」
「「「頂きます。」」」
由羅ちゃんの可愛いい掛け声に合わせて、皆手を合わせてから食事に向かった。
昔から孝兄はこういう事は徹底していた。
箸の握り方や言葉違い、その他マナーには厳しくて、だらしなかったりすると直ぐに怒られていた。
昔は口煩いな思っていた時期もあったが、今は兄のお陰で常識的なマナーを身につけることができて良かったと思っている。
それにきっと彼を誘わなかったのは私の為だ。
勿論、私も彼を家族のように思っているが彼は私にとって〝好きな人〟であって決して兄ではない。
そんな私の心の内を兄は知っている。
だから〝家族水入らず〟を強調して言ったんだと思う。