約束のエンゲージリング
でも今思えば、自分の想いを断ち切る為に彼女を利用したのかもしれない。
彼女と過ごす日々は、穏やかで幸せな筈なのにどこか満たされない。
それでもケジメをつけようと自分が30になる年に結婚も考えた。
しかし中々結婚に踏み切れず躊躇していたそんな頃、幼かったあの子は高校へと進学して更に綺麗になっていく。
あの子が成長する度に、彼女と付き合い出した本当の理由が嫌でも思い知らされる。
その理由があまりにも最低な理由で、そんな事をあの子にも彼女にも知られたくなくて2人が鉢合わせしないようにしていた。
愚か自分と長年の想いを打ち消すように、彼女にプロポーズするべく指輪を買いに行った。
でもそれが更に自分の想いの深さを痛感することになったのだ。
買った指輪は当然、彼女に渡すことが出来ず引き出しに眠ることになってしまう。
それでも自分は弱くて卑怯な人間で、未だに彼女との関係を続けていた9年目最大の事件が起こった。
とうとうあの子にも恋人が出来たのだ。
兄妹のように過ごしてきた自分に、律儀に報告に来たあの子はとても無邪気に笑っていてその笑顔を見た瞬間の自分の中で渦巻くドス黒い感情なんて知るよしもない。