約束のエンゲージリング







『っ、、どうしてこれが此処に、、?』




ここにある筈のないそれを目にした瞬間、驚きを隠せないといった戸惑いの表情をする彼。

そんな彼に勢いよく頭を下げた。







「っ、、勝手に持ち出してごめんなさい!マサさんが孝兄に忘れモノを送ってほしいって頼んだ日に見つけたの。指輪の裏に刻まれた文字を見て、千尋さんに渡す筈だったエンゲージリングだって思って、、思わず持って帰っちゃったの。でもさっきね、、?その千尋さんが店に訪ねてきて2人の過去を色々話してくれた。そしてマサさんがずっと想い続けている子は自分ではなく、このエンゲージリングの裏に刻まれた名前の子だって教えてくれた。」

『千尋さんがそんな事を、、?』





彼の居なかった3日間に起こった出来事を告白すると、彼はゆっくりとリングケースを開けて光り輝く指輪を眩しそうに見つめながら呟いた。











『、、これを買いに行った時は、千佳への未練を断ち切るべく千尋さんに渡す婚約指輪を買いに行ったんだ。でもあの日、幼い千佳が欲しがっていたデザインと全く同じ指輪が目に留まって気づけばそれを買ってた。あの時は、これを千佳に渡す日が来るなんて思ってもなかったのにね?』





その時の事を思い出しているのか、指輪を手に取った彼は眉を下げ泣いているように笑った。

そんな彼の姿に、思わず手を伸ばす。





伸ばした左手は、彼に届く目前で彼の左手に捕らえられ、その左手の薬指にゆっくりと約束のエンゲージリングが通された。












『うん、、やっぱりよく似合うね。』





その光景はまさにドラマで見たシーンと同じで、ドラマのヒロイン同様に涙が溢れる。



< 282 / 284 >

この作品をシェア

pagetop