約束のエンゲージリング



すっかり自分の世界に入り込んで唸っていると、後ろからショップ店員の方が彼に声を掛けた。







「いらっしゃいませ。どういったモノをお探しですか?」

『これからの季節に着る服を探しに。』

「、、彼女さんですか?随分悩まれているようですね。もし宜しければオススメのモノをいくつかお待ち致しましょうか?」

『ありがとうございます。でも彼女がとても真剣に服を探してくれているので大丈夫です。』








ショップ店員さんが放った〝彼女〟という言葉につい反応してしまった。


はたからみたら恋人同士に見えてるのかな。

、、、そうだったら嬉しい。





それに彼も特に〝彼女〟には否定はせずに会話を続けている。









「そうだったんですねっ。それは失礼しました。それにしても可愛い彼女さんですね。あんなに真剣に選んでくれるなんて羨ましいです。」

『、、えぇ。とっても可愛い彼女です。俺には勿体ないくらいに。』








あまりにもサラッと驚くセリフが聞こえて思わず振り返る。

すると目が合った彼はしーっと人指しを顔の前に持ってきて、いたずらに笑った。






本当にこの人は、どれだけ私を振り回せば気が済むのだろう。

私の気持ちなんて知りもしないで軽く翻弄してくる。




< 59 / 284 >

この作品をシェア

pagetop