約束のエンゲージリング
すっかり自分の世界に入り込んで唸っていると、後ろからショップ店員の方が彼に声を掛けた。
「いらっしゃいませ。どういったモノをお探しですか?」
『これからの季節に着る服を探しに。』
「、、彼女さんですか?随分悩まれているようですね。もし宜しければオススメのモノをいくつかお待ち致しましょうか?」
『ありがとうございます。でも彼女がとても真剣に服を探してくれているので大丈夫です。』
ショップ店員さんが放った〝彼女〟という言葉につい反応してしまった。
はたからみたら恋人同士に見えてるのかな。
、、、そうだったら嬉しい。
それに彼も特に〝彼女〟には否定はせずに会話を続けている。
「そうだったんですねっ。それは失礼しました。それにしても可愛い彼女さんですね。あんなに真剣に選んでくれるなんて羨ましいです。」
『、、えぇ。とっても可愛い彼女です。俺には勿体ないくらいに。』
あまりにもサラッと驚くセリフが聞こえて思わず振り返る。
すると目が合った彼はしーっと人指しを顔の前に持ってきて、いたずらに笑った。
本当にこの人は、どれだけ私を振り回せば気が済むのだろう。
私の気持ちなんて知りもしないで軽く翻弄してくる。