約束のエンゲージリング
『今日は千佳以外に大事な用事とかないよ。だから千佳が心配することはないから。さ!行こうか。』
それが〝妹〟に対する言葉だと分かっていても嬉しすぎるその言葉に胸が締め付けられる。
今日だけ、、そう自分に言い聞かせて素直に頷いた。
その後も手を繋ぎ、一つ一つの店を見て回った。
幸せな時間だった。
辺りが薄暗くなった頃に全店コンプリートが終了し、楽しい時間の終わりを告げる。
『やっぱり全店コンプリートするにはこの時間くらいまでは掛かるよね。』
「そうだね、、。か、帰る前にトイレ行ってきてもいい?」
『じゃあ、一緒に行くよ。』
「えっ!?いいよっ!?!?そこまで子供扱いしなくて大丈夫だから!!迷子にだって絶対にならないからっ!すぐ戻る!!!」
トイレまで付いてこうようとする心配性な過保護ぶりに、慌てて手を振り払って彼から離れた。
『何言ってるのさ、、もう子供じゃないから心配なんでしょ、、て千佳っ!?!?』
彼に背を向けてトイレに向かう時、後ろから彼が何か言っている声が聞こえたが振り向かずにトイレへ直行した。
「、、本当に酷いな、、マサさんって、、。」
手を洗いながら鏡に映る自分の表情は酷く歪んでいてそれが更に涙腺を緩るませる。