約束のエンゲージリング
すると一瞬びくっと彼の身体が揺れて、それから勢いよく離れた身体。
何事かと驚いていると、今度は彼の顔が近づいてきて互いの唇が触れる寸前で止まった。
そして唇をキツく噛み締めた彼。
「ま、、さ、、さん、、、?」
見たことのない彼の姿に、不安になって彼の名前を小さく呟くと彼の額と私の額がコツンと音を立ててぶつかった。
『、、だから嫌だったんだ。思ってた通りに変な輩に絡まれて、その上誘拐、、?千佳からは本当に目が離せないよ。千佳がなんと言おうとも、、アパートに帰り着くまで絶対に手は離さなさいからそのつもりでね。』
そう言った彼はまた手を握って背を向けた。
その背中から物凄く心配してくれたんだと言うことが伝わってきて素直に頷いた。
「うん、、これ以上迷惑掛けないようにそうする、、。」
「それに千佳の所為で遅刻だよ。まぁ、、急げばまだ間に合うとは思うけど。」
「遅刻って、もしかしてマサさんのこの後の予定!?やっぱり予定あったんだっ、、!」
先程はやんわり流されたがやはり予定があったらしく私が彼の言う事を聞かなかった所為でその予定を狂わせてしまった。
真っ青になって彼を見つめると、振り返った彼が噴き出した。