約束のエンゲージリング
妊娠中だというのに感情が抑えきれないのか声を上げる彼女を少しでも落ち着かせようと頭を優しく撫でる。
だがそれが更に彼女の感情を高ぶらせてしまったようで泣いているのか震えた声で呟いた。
「どうして上手くいかないのかな、、、、?どうしていつも千佳ばかりが悲しい目に合うの、、?ただ、、幸せになって欲しいだけなのにっ、、!ほっっんとマサくんは見る目がないよ、、。」
「そうでもないと思うけどな。本当はあいつが、マサが1番辛い恋をしてる。ただ、、相手が悪すぎた。2人を出会わせてしまった俺が1番悪かったのかもしれない。」
「何それ、、。だってあの人と孝って面識なかったでしょ?もともと花屋のお客さんだったし。それにそれこそ〝運命〟だよ。マサくんには悪いけど、私達にはどうすることも出来ないもの。きっとこうなる〝運命〟だったんだよ。」
「、、〝運命〟か。そうだな。」
ずっと後悔していた。
もっと違うように出会っていれば、2人を苦しめる事も無かったのだと。
だが、沙羅の言うようにもしこれが〝運命〟だったなら少し救われた気がした。
ようやく動き出した運命の歯車。
それを側で最後まで見守る事こそが俺に課せられた使命だと思っている。