約束のエンゲージリング
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出社ギリギリまで眠ってスッキリとした朝を迎えた。
その理由は長かった片思いが終わって終止符を打つことができたからだと思う。
顔を洗おうと洗面台の鏡に映る自分は清々しいくらいにスッキリとしていてむくみも特にない。
これなら彼に余計な罪悪感を持たれずに済むとホッとして準備に取り掛かった。
いつもどおりの薄化粧に去り際に貰ったピアスをつけて、彼とお揃いのエプロンをバックにしまいアパートを出た。
足取りも軽く直ぐに店へとたどり着く。
中に入る前に一度大きく深呼吸をしてから心の中で呟く。
〝大丈夫。ちゃんといつもどおりに出来る。彼の望むような妹になれる〟
暗示を開けるように何度も何度もその言葉を繰り返し呟いて、裏口のドアを開けた。
「おはようございまーす。」
大きめに声を上げたが、作業場には彼の姿はなく少し拍子抜けした気分で休憩所へと足を進めて腰に新品のエプロンを巻いた。
荷物をロッカーに直してロッカーを閉めると気合を入れすぎてしまったのか、つい力が入り強めにロッカーの閉める音が休憩所に響いた。