片想い同盟
もしかしたらこの体育館の中にもいるかもと思うと、そんなつもりはなくても拓海との会話に気を使ってしまう自分がいた。
けど、そんな気持ちも大好きな人の声ひとつでどこかへ行ってしまう。
「唐沢ー。そっちの準備どう?……って、あれ?遠山さん」
「……っ、え、優希くん?」
拓海に声をかけてやってきたその人物に、ドクンと心臓が音を立てた。
久しぶりに会話できる距離にいる優希くんに、私の心は一気に有頂天になる。
我ながら本当に単純だと思うけど、それくらい、私にとって優希くんの存在はすごいんだ。全部がキラキラして見えるから不思議。
「遠山さんも、もしかしてバスケ?」
「あっ、ううん。私はバレー」
「あ、そうなんだ?俺はバスケにしたよ。本当はサッカーがよかったんだけどね」
「ふふっ、部活の種目は出れないもんね」