片想い同盟
残念、とがっくりするそぶりを見せた優希くんは、本当にサッカーが好きなんだな。
私も、優希くんがサッカーしてるところ……好きだし。
「あ、遠山さん、ぶつかる」
「えっ?」
不意に、優希くんに手を引っ張られた。
ドキッとしたと同時に、とっさに踏み込んだ左足がズキンと痛む。
その瞬間、後ろには赤いジャージの男子生徒が走り去って行った。
「こら1年、気をつけろー」
「た、高野先輩!すみませんでした!」
どうやら、彼らはサッカー部の1年生らしい。「ったく……」なんて呟く優希くんが先輩らしく見える。
「ごめん、遠山さん。大丈夫?」
「あっ、うん、全然!ありがとう優希くん」
パッと手を離してお礼を言うと、微笑んだ優希くんが、一瞬足元を見た気がした。