お試しから始まる恋
 メモにはなおに電話番号が書かれていた。


 複雑そうな表情を浮かべ、颯は携帯電話を取り出してどこかに電話をかけた。





 上機嫌でもどってきたなおは、仕事の続きを始めた。


 しばらくして颯が戻って来た。

 何事もなかったかのように、仕事の続きを始める颯。



 その後、いつも通り仕事をこなした颯。




 定刻通りに仕事が終わり。


 約束の18時になり、駅前のカフェに向かった颯。


 カフェの前では私服に着替えたなおが待っていた。


 フリフリのワンピースを着て、スカートの丈は膝上10cmのミニ。

 胸が大きく開いて谷間が見えている姿は、男達を釘付けにしてしまうくらいである。



「柳田君、待っていたわ」


 颯の傍に近づくと、なおはギュッと腕をつかんだ。


「カフェだと、人に聞かれちゃうから。誰にも聞かれない場所に行かない? 」

「はぁ? 」

「ねっ」

 掴んだ腕を引っ張って、なおは颯を連れてゆく。




 なおは駅裏にあるラブホテル街に颯を連れてきた。


「ここなら、密室よ。誰にも聞かれないでしょう? 」

「はぁ? どうゆうつもりだ? 」

 怪訝そうな目をする颯に、なおは急に悲しそうな目をした。


「彼が・・・ずっと連絡くれないの。・・・結婚の約束してたけど、連絡なくなって・・・。ずっと不安だったの。・・・同窓会に行けば、気分も晴れるって思って行ったんだけど。・・・柳田君は、私に一言も声かけてくれなかったわよね。・・・寂しかった・・・」


 そう言って、ギュッとなおは颯に抱ついた。


「ちょっと、なにするんだ」


 なおを突き放そうとする颯だが、ぎゅっと抱きつかれて離せなかった。


 と・・・



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