俺だけのもの~一途な御曹司のほとばしる独占愛
襟元にファーが付いたライトグレーのコートを羽織ってブランドものではない小ぶりのバッグを持ち、ふんわりと髪を巻いた愛海はいつもより可愛らしく見え、カジュアルな服装の笹倉さんも事務所のときよりもカッコいい。
「どうしたの?」
口を開いて固まっている私に、涼真がたずねてきた。
「え、えっと……愛海と彼氏がいて……」
付き合うことは知っていたものの、ふたりがこうしてデートで出歩いている場面に遭遇するのははじめてだった。
「愛海ちゃん、彼氏できたんだ」
「うん、同じ事務所の人。あ、ねぇ向こうのライトアップも近くで見たい」
ここでバッタリ会うのは、愛海はともかく笹倉さんとは気まずいので、涼真の腕を取って場所を移動した。すると今度は、背の高い男性と小柄な女性が目に入ってきた。
「あれ? あのふたりって新野さんとこなっちゃんかも」
今度は涼真が目を瞬かせる。光りと人が溢れている中、私も涼真の視線の先をうかがうと、確かに新野社長と後輩の女性がいた。
女性は光りに夢中で、その女性を見つめる新野社長はニコニコとだらしないくらいに顔を緩ませている。よほど彼女のことが好きなのだろう。
「涼真もここで会うとちょっと気まずいよね。じゃ、向こうに……」
「え、なんで? 全然よくない? むしろ、呼ぼうかと思ってた」
ケロッとした顔でそう言うと、いまにも少し離れたふたりに呼びかけようと口元に手を当てている。