俺だけのもの~一途な御曹司のほとばしる独占愛
大通りにはまだ列を作っているお店が多く、それを横目に今度はどこのランチに行こうかと考えながら歩いていると、空きビルの前で数人集まって話をしているのが目に入った。
作業着を着た男性が三人と女性がひとり、あとはスーツの男性がふたり。
「あの空きビル、改装するのかな? できればオフィス系じゃなくて、おいしいご飯屋がいっぱい入ってくれるといいなぁ」
愛海も同じ光景に目が言ったらしく、目を輝かせながら願いを口にする。
「ご飯屋できてくれたらありがたいよね。この時間は争奪戦になるし、あともう一個注文できるなら中華だとかなり嬉しいな」
「あー、このあたり中華ない!」
ふたりで妄想に花を咲かせながらその集まりを避けるように歩いていると。
「外からの印象も大事ですし、こう下がって見ると……」
作業着を着た男性のひとりが話し合いの輪から外れ、うしろを見ずに後ずさりしてきた。
「ほら、もっと窓から中の明かりが……」
「え? きゃっ……!」
後退してきた男性と、その後ろを歩いていた私がタイミング悪くぶつかってしまった。その衝撃によろめき、隣を歩いていた愛海にもたれかかりそうになる。
「っ! と……すみませんっ!」
「い、いえ……」
「大丈夫?」
支えてくれた愛海に「大丈夫」とうなずき返し、頬にかかった髪を耳にかける。
「本当にすみません! いま、全然見てなくて……ケガはないですか? どこか痛いところは?」
俯き加減だった私の顔を覗き込み、大きな瞳で見つめてくる。所属はどこのアイドルグループですか?と思わずたずねたくなるくらい、綺麗とかわいいが共存した端正な顔をしていた。