俺だけのもの~一途な御曹司のほとばしる独占愛


「百ちゃんって、美人だよね。本当に彼氏いないの?」

「美人だなんて、そんなことないですよ。ありがとうございます。彼氏は二年くらいいなくて……そろそろ寂しくなってきたんです」

褒められたときはとりあえずお礼。男性の見分け方を検索しているとき、好感度の高い女性になるためのコツもちゃっかり勉強していたのが役立った。

「どうですか? 百音、性格もすごくいいですよ。仕事も真面目ですし、きっちりしてます。社内でも人気なんですけど、うちの事務所って既婚者が多くて」

「ち、ちょっと愛海……」

隣に座っていた愛海が私の肩をポンと叩きながら売り出してくれる。フォローしてくれているのかもしれないけれど、正直いまはありがたくないというのが本音。適当な調子の幹事に好かれても、あまり嬉しくなかった。

「いやぁ、美人だけどとっつきにくそうだよね。なんか、冷たくあしらわれそうな気がする」

幹事の言葉に、周りの男性陣も「そうそう」と笑って相づちを打った。

「そ、そんなことありませんよ。これでも割とノリがいいって言われるんですよ。ほら、なんでも笑顔で返しますし」

とりあえず取り繕ってみるけれど、どうでもよくなってきた。満面の笑みとはほど遠い貼りつけた笑顔を浮かべ、自己紹介も愛海の番になったので残っていた半分のビールを飲み干した。

なんなんだろう、あの幹事。場を盛り上げようとしているのか、それとも私をけなしたいのか。

……よく見ると、元カレに似ている気もする。

目を細め、じとっとした視線を向ける。細身でやたら身なりにお金をかけ、周りより優位に立とうと余裕のある素振りを見せるインテリ系。

元カレは知識の多さもひけらかして、私が違うことを言うと論破するまで気が済まなかった。

大企業で経理をしていると言いながら、本当は小さな個人事務所で総務の傍らで経理を少ししているくらいだったし、税法の改正があったときに私が正しいことを言っても最後まで認めようとしなかった。結局あれで仕事はうまくいったのか。わからないまま、別れてしまった。

……ああ、面白くない飲み会に嫌な元カレとのことを思い出してしまった。今日はなんだか飲みすぎてしまいそう。

グラスが空になると、さっそくもう一杯頼むことにした。

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