私は視えない。僕は話せない。
「あなたが既に知っていたのは誤算だったわ。あの人、そういうことは何も報告してくれないんだもの」

『すいません。父の部屋でたまたま見つけたスクラップが気になって、僕から尋ねてしまったんです』

「いいわよ。それに実のところ、今あなたとこうして話しているのは、不思議と心地が良いもの」

 母は優しい笑みを浮かべて言った。

「さっきも言った通り、あの子は事故で目が見えなくなった。それ以上の苦労を、重荷になるようなことを、もう味わわせたくないの。事故さえなかったら、本当は――」

 言いかけたところを、僕が首を振る動作で以って制した。
 そして、たった今少し聞いただけの身で思ったことを、文字で記していく。
 
 本音は――五十パーセント程だろうか。
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