私は視えない。僕は話せない。
――重荷になるようなこと――
 
 不思議と、鋭く突き刺さる。
 許している、とは言っていたが、姉の為とは言え、そんな言葉で僕らが語られてしまうと、少しくるものがあるのだ。
 
 こっちだって、何も知らず、何も知らされず、出来ることを精一杯やって来たというのに。
 苛立ちはしないが、どこか寂しさが募る。

『姉さん、目が見えないらしい。昔に遭った事故の所為だって言ってた』

「あぁ、知ってる。入院費は俺が持って、見舞いにも行ったからな」

『そうなんだ。でも、明るい顔してたよ。母の腕を頼りにして、ちゃんと自分の足で歩いてた』

「――そうか」

 珈琲三口。
 言葉に詰まると、食事よりも珈琲に手が伸びるのも父の癖だ。
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