私は視えない。僕は話せない。
自身も目が見えないという状態にありながら、僕にそんな言葉をかけるのだ。
辛いことを辛いと認め、他と比較することなく――けれど前向きに、明るい口調で言ってのけるのだ。
『ありがとう』
気が付いた時には、僕はそう姉の手に滑らせていた。
なまじ知ってしまった事実に、現実に、それを隠して生きなければいけない未来に。
実を言うと、少し息が詰まりそうだった。
「そろそろ戻りましょうか。拓也さんの言う通り、お母さんに心配をかけちゃいます」
姉の一言で意識が現実に戻されると『うん』と返して席を立つ。
少しふらつく姉の身体を支えながら、ゆっくりと。
そのまま手を引いて歩いて、公園を後にして、母の待つ家へと向かっていく。
いつも通り、何も変わらない平和な道を。
そう、思っていたのだが。
ふと聞こえたのは、後方より近付くトラックのタイヤとエンジンの音。
こんな一般道で、随分とスピードを出している。
何となく振り返ると、それはすぐ十メートル程先のところまで迫って、僕らの方へと突っ込んできていた。
辛いことを辛いと認め、他と比較することなく――けれど前向きに、明るい口調で言ってのけるのだ。
『ありがとう』
気が付いた時には、僕はそう姉の手に滑らせていた。
なまじ知ってしまった事実に、現実に、それを隠して生きなければいけない未来に。
実を言うと、少し息が詰まりそうだった。
「そろそろ戻りましょうか。拓也さんの言う通り、お母さんに心配をかけちゃいます」
姉の一言で意識が現実に戻されると『うん』と返して席を立つ。
少しふらつく姉の身体を支えながら、ゆっくりと。
そのまま手を引いて歩いて、公園を後にして、母の待つ家へと向かっていく。
いつも通り、何も変わらない平和な道を。
そう、思っていたのだが。
ふと聞こえたのは、後方より近付くトラックのタイヤとエンジンの音。
こんな一般道で、随分とスピードを出している。
何となく振り返ると、それはすぐ十メートル程先のところまで迫って、僕らの方へと突っ込んできていた。