私の赤点恋愛~スパダリ部長は恋愛ベタでした~
「先に帰って私が家事をこなしておけば、佑司が楽になりますよね?
だから、帰ります」

「……チーが俺のために、家事を?」

ぴたっと動きが止まり、ゆっくりと彼の顔が上がる。
視線のあった、眼鏡の奥の目が、二、三度ぱちぱちと瞬きした。

「……いやいやいや。
チーをひとりで帰らせるわけにはいかない。
いかないとも」

ふるふるとあたまを振って、また佑司は仕事を再開する。
いやいやいや、はこっちだよ。
なんでそこまで、私をひとりで帰らせたくない?

「遅い時間ならあれですけど、今日は早いですし。
危険はないかと」

「いや、疲れているチーが座れずに立っているなんてダメだ。
そもそも電車なんて、痴漢に遭いかねない。
そんな危険なものに、乗せられるわけがない」

いや、いままでそれで通っていたんだけど。

「とにかく待ってろ。
いいな?」
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