私の赤点恋愛~スパダリ部長は恋愛ベタでした~
まだ佑司は私がなにをやっているのかわかっていないらしく、着替えの手を止めたまま突っ立っている。

「だから。
私に手伝わせてください」

着替えが終わり、両手で佑司の顔を挟んで見上げる。
視線のあった彼は眼鏡の奥で二、三度瞳を揺らし、はぁーっと大きく息を吐き出した。

「ありがとう、チー」

「仕事、ですから」

ちゅっと唇が触れ、彼が離れる。

「どさくさに紛れてなにやってんですか」

「んー?」

佑司が着替えている隙に、私もてきぱきと簡単に化粧を終わらせた。

「行くぞ」

「はい」

慌ただしく家を出る。
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