私の赤点恋愛~スパダリ部長は恋愛ベタでした~
「大丈夫もなにも、俺ひとりしかいま動ける人間がいないんだからしょうがないだろう」

運転のできる社員は全員すでに出払っていた。
残っているのは佑司ただひとり。

「私、ついていきましょうか。
運転は代われませんが、隣で眠らないように見張ることはできます」

「チーはダメだ」

強い意志を込めた目で佑司がレンズの向こうから私を見つめる。

「チーはここに残ってみんなの連絡と帰りを待ってもらわないと困る。
これは、チーにしか頼めないことだから」

「佑司……」

半分は本当、半分は私に徹夜などさせられないといったところか。
もっと頼ってほしいという気持ちもありつつ、私にしかできないと言われるとそれ以上なにも言えなかった。

「事故、起こさないで無事に帰ってきてください」
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