私の赤点恋愛~スパダリ部長は恋愛ベタでした~
出張?
いやでもそれなら、九州工場が近いのは福岡空港のはずだ。
しかもどうも、手ぶらだし。

気になってそーっと後をつけてみる。
タクシー乗り場でタクシーに乗り込んだかと思ったら、なぜかすぐに降りてきた。

「……チーの実家の住所とか知るかよ」

「ゆ……京屋、部長」

途方に暮れている彼のベストを、そーっと引いてみる。
途端にびくん!と大きく背中が震えたかと思ったら、ゆっくりと振り返った。

「……なに、やってるんですか」

「……チー」

みるみる、彼の目に涙が溜まっていくのがレンズ越しでもわかった。

「やっと、会えた……」

彼が瞬きをし、涙がぽろりと転がり落ちていく。
傾いてくる身体を、ただただ見つめた。
そのままぎゅっと、抱きつかれる。
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