私の赤点恋愛~スパダリ部長は恋愛ベタでした~
「……チーの家」

ぼそっと小さく、彼が呟く。

「チーの家による必要があるんだよな?」

「はい、そうですけど……」

「よし、わかった」

佑司が上げた眼鏡のレンズが、きらりと悪戯っぽく光る。
そのままいきなり、Uターンの急ハンドルを切った。

「寄ろう、チーの家。
チーの家、チーの家」

まるで小さい子が遠足ではしゃぐように彼は歌っていて、……もう、嫌な感じしかしない。



私のアパートの前で、佑司はこの世の終わりかってくらい絶望的な顔をしていた。

「オートロックは?」

「ないですよ」
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