私の赤点恋愛~スパダリ部長は恋愛ベタでした~
「なんでもないです」

見上げると、目のあった彼が少しだけ首を傾ける。
私が言いにくいこと、察してしかもスマートに代替え案を提示してくれた。
そういうのは……素直に、格好いいと思う。

ぶらぶら見て回りながら、佑司が唐突に足を止める。

「……指環」

彼の視線の先には、エンゲージリングが飾ってある。
まさか、あれを買うなんて言わないよね?

「買おう、指環!」

まさか、が現実になってあたまが痛い。

「あのー、ですね?
私たちはまだ、恋人同士ですらないわけで……」

「とりあえずで付き合ってるのはわかってる。
でもそれって仮押さえってことだろ?
なら、その印つけたっていいだろ」

私を引きずって、佑司は強引に店に入っていく。
すぐに店員に言って、ペアリングをいくつか並ばせた。
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