闇に溺れた天使にキスを。
「だ、だって…神田くんが黙るから」
『いや、誤解させてごめんね。返信が来なくなったから授業に集中したのかなって思ってたけど……電話がきて、嬉しくて。俺、今すごく頬が緩んでると思う。恥ずかしいくらい』
神田くんの頬が緩む姿。
見てみたいと思った。
「私、返信してなかった?」
『返信はきてないよ。その代わり、電話がかかってきたから驚いた』
嬉しそうな声がスマホ越しに聞こえてくる。
私までにやけてしまいそうだ。
「じゃあ一刻も早く、電話したくて返信してなかったのかも。私も神田くんの声が聞きたかったから」
メッセージだけだと距離がある気がして。
直接声を聞けた方がずっとずっと近く感じられる。
『……本当、困るから』
「へ……」
『お願いだから電話でそんなかわいいこと言わないで。
直接会って抱きしめたくなる』
「……っ」
いつもより余裕のない声に聞こえたのは、スマホ越しのせい?
それはわからなかったけれど。