闇に溺れた天使にキスを。



「だ、だって…神田くんが黙るから」

『いや、誤解させてごめんね。返信が来なくなったから授業に集中したのかなって思ってたけど……電話がきて、嬉しくて。俺、今すごく頬が緩んでると思う。恥ずかしいくらい』


神田くんの頬が緩む姿。
見てみたいと思った。


「私、返信してなかった?」

『返信はきてないよ。その代わり、電話がかかってきたから驚いた』


嬉しそうな声がスマホ越しに聞こえてくる。
私までにやけてしまいそうだ。



「じゃあ一刻も早く、電話したくて返信してなかったのかも。私も神田くんの声が聞きたかったから」


メッセージだけだと距離がある気がして。
直接声を聞けた方がずっとずっと近く感じられる。


『……本当、困るから』
「へ……」

『お願いだから電話でそんなかわいいこと言わないで。
直接会って抱きしめたくなる』

「……っ」


いつもより余裕のない声に聞こえたのは、スマホ越しのせい?

それはわからなかったけれど。

< 157 / 530 >

この作品をシェア

pagetop